コンサルをさせて頂く中で多いご相談が、この離職問題、人材問題です。
人材不足が深刻化する中、優秀な人材をいかに獲得し、定着させるかは企業にとって重要な課題となっています。
しかし、多くの企業では離職率が高く、せっかく採用した人材がすぐに辞めてしまうという状況に直面しています。
採用にかかる費用、労力は企業の体力を消耗しかねません。
特に今どきの新入社員は”キャリア・アップ”を求めすぎる傾向にり、すぐに転職を考える方が多いです。
コンサルタントとしても見過ごしてならないこの問題に、本稿では、「離職を防ぐ」という視点から、社員が辞める原因を分析し、定着率を高めるための具体的な取り組みについて解説します。
離職率が高い会社
まずは離職率が高い会社の特徴を考えてみましょう。
自社のことは分かりにくくても、「一般的に離職率が高い会社とは?」と考えることから様々なコトがイメージ出来てきます。
離職率が高い会社には、以下のような特徴があります。
- ワークライフバランスが整っていない
- 長時間労働や休日出勤が多い
- 有給休暇の取得率が低い
- 育児・介護休暇制度が充実していない
- 人間関係に問題がある
- 上司・同僚とのコミュニケーション不足
- パワハラやいじめがある
- 職場環境が悪い
- 入社前に想定していた仕事内容とギャップがある
- 実際の業務内容が説明と異なる
- 期待していたキャリアパスが描けない
- 給料に不満がある
- 同業他社と比べて給与水準が低い
- 成果に見合った評価・昇給がない
- 会社の将来性に不安を感じる
- 経営状況が悪化している
- 事業戦略が不明確
- 仕事にやりがいを感じられない
- 自分の仕事が社会貢献に繋がっていない
- 成長・学習の機会が少ない
- 成果を正しく評価されない
- 上司からのフィードバックが少ない
- 能力に見合った仕事を与えられていない
いかがでしょうか?
ザっと書き記しただけでもこれくらいあります。
御社で引っかかる点がありましたでしょうか?
ただ、上記に書いた事柄だけですぐに”離職”につながるかといえば、一概にそうでもありません。
次に「なぜ社員が辞めるのか」についてみていきます。
なぜ社員が辞めるのか
社員が辞める理由は様々ですが、まとめてみると主に以下の2つの要因が挙げられます。
- モチベーションの低下
- 仕事にやりがいを感じられない
- 成長・学習の機会が少ない
- 成果を正しく評価されない
- ワークライフバランスが整っていない
- コミットメントの低下
- 会社や上司への信頼感がない
- 自分の仕事が社会貢献に繋がっていない
- 将来性に不安を感じる
- 人間関係に問題がある
これらの一つが引っかかる場合もありますが、多くの場合は複合的な要因が原因となります。
これらを回避するために、モチベーションアップよりも先に取り組むべき事案を次にあげます。
モチベーションアップより先に取り組むべきこと
多くの企業では、社員のモチベーションアップに焦点を当てた取り組みを行っています。しかし、モチベーションは一時的なものであり、根本的な解決には至らない場合があります。
社員が長く会社に定着するためには、まずモチベーション低下の原因を分析し、それを解消するための施策を実行する必要があります。
”社員の居場所作り”をしっかりとし、「この会社にいたい」居心地が良い会社になる必要があります。
また、上司からの承認、同僚からの承認、得意先や顧客からの感謝など”社員の承認欲求を満たす”必要があります。これにより、社員が社会の役に立っているという実感を得ることができます。
最後に、”上司としての資質向上”が必要になります。社員の能力を引き出し、成長を助ける努力をすることが大切です。
具体的には、以下のような取り組みが有効です。
- ワークライフバランスの改善
- 長時間労働の削減
- 有給休暇の取得促進
- 育児・介護休暇制度の充実
- 職場環境の改善
- コミュニケーションの活性化
- ハラスメント対策の強化
- 働きやすい環境づくり
- キャリアパスの明確化
- 個々のキャリア目標を設定
- 研修・育成制度の充実
- 能力に見合った仕事を与えられる仕組みづくり
- 評価制度の見直し
- 成果に基づいた評価
- 定期的なフィードバック
- 能力・貢献度を反映した給与体系
- 経営戦略の明確化
- ビジョン・ミッションの共有
- 将来性のある事業戦略の策定
- 定期的な情報共有
社員が辞める原因は様々ですが、多くはモチベーション低下とコミットメント低下が原因です。
これらの問題を解決するためには、単にモチベーションアップに焦点を当てるのではなく、根本的な原因を分析し、それを解消するための施策を実行する必要があります。
社員が長く会社に定着することは、企業にとっても大きなメリットとなります。
今回紹介した取り組みを参考に、離職率を低減し、定着率を高めるための取り組みを進めていきましょう。